22年9月

◆3番(森岡秀幸君) 市民派ネットの森岡秀幸です。市民生活と大きく関わる文化振興に関して、箕面市における基本的なお考えとその具体的な取り組みについてなど、市民協働による文化のまちづくりについて一般質問いたします。
 文化芸術の振興に関しては、多くの場面で語られております。また、本市議会でも何度となく取り上げられております。
 私は、とりわけまちづくりの観点から、これら文化芸術についての考え方を質問させていただきます。
 国に文化審議会が答申した文化芸術の振興に関する基本的な方針の見直しによりますと、文化とは最も広くとらえると、人間の自然との関わりや風土の中で生まれ、育ち、身につけていく立ち居振る舞いや衣食住をはじめとする暮らし、生活様式、価値観など、およそ人間の生活に関わる総体を意味するものとの考え方を示しております。
 また、文化を人間が理想を実現していくための精神活動及びその成果であるとの視点で見ると、文化芸術は人間が人間らしく生きるための糧となるものであり、人間相互の連帯感を生み出し、ともに生きる社会の基盤を形成するものであるとしております。
 現在、国内の多くの自治体で文化芸術振興によるまちづくりを考えております。それぞれの地域によってそれぞれに立脚した個性を持ち、違いはありますが、その根幹をなす共通する考え方は、上記のような考え方と共通します。人づくりや地域の独自性を見出し、育て、発信することを文化芸術振興によるまちづくりとしております。
 身近な大阪府においての文化振興に対する基本的な部分の考え方を見ますと、まず文化振興によって人々がこれまではぐくまれてきた独自の文化を通じて自分たちが住むまち、働くまちの歴史やアイデンティティーを認識し、愛着と誇りを持つことができる。
 次に、文化活動を通じて人々が自分と異なる物の見方、考え方、価値観に触れることにより、心の豊かさ、人間性をはぐくむのと、人とのつながりを強めたり、地域の活力を引き出したりすることができる。社会的弱者の立場にある方の社会参加を支援するという点も、文化は大きな力を発揮する。
 3番目に、文化活動の中には社会に対する問題意識、批判精神の表現である場合があり、人々に考える力を与え、また地域の課題を人々が共有し、行動を起こしていくきっかけをつくったり、幅広く発信するものもある。このことはだれもが自分らしさを輝かせ、お互いを尊重し合う豊かな人権文化の創造につながるものとしております。
 さらに4番目として、文化活動は人々の感受性・創造性をはぐくむ上で大きな効果を持つことから、教育、福祉、健康づくり等の分野でも社会サービスの一つとして認識され始めている。また、文化は都市の魅力そのものであり、観光などさまざまな分野での内外の人々を引きつけ、まちのにぎわいづくりに大きな役割を果たしている。こうしたことから、文化の振興が新たな社会サービスの創造、ひいては経済の活性化、都市の再生につながっていくとしております。
 そこで、まず箕面市において、文化芸術に対してどのような基本的な認識をお持ちかどうかを確認させていただきます。お答えください。
 もう少し具体的に話を進めていく上で、平田オリザさんが昨年の暮れ、滋賀県で講演されたときのお話を、非常に参考になりわかりやすいと思いますので、以下にそのお話の内容を引用しながら質問させていただきます。
 初めに、特色ある地域づくりについて。文化の自己決定能力を育てていくことがこれからの地方にとって一番大切なことではないか。これは付加価値をつけるということで、人との違いをつくっていく、他の地域との違いをつくっていくということです。
 この付加価値とは、長期的に見れば子どもたち、若者たちが本物のすばらしい芸術に触れている、国際水準の芸術にきちんと触れている、もちろん芸術だけでなく海外の人とコミュニケーションをたくさんとっている、そういう機会をたくさん保障する。そういったさまざまな施策によってしか、子どもや若者たちにそういった力を養っていくことはできないと語っておられます。
 どういうことかというと、単純にいえばわかりやすいかと思いますが、もしこれに行政が手をかさなかったら、東京一極集中は加速的に増していきます。東京の子どもにはほっておいてもそういう機会がたくさんあります。東京の子どもたちはどんどん文化的な要素が育っていくのです。そして、センスが磨かれていき、これからはセンスが勝負なのです。こうして文化によって地方は収奪されていきますと語っておられます。現代社会の問題の一端を文化の面からわかりやすく解いておられると思いました。
 また、多くの話題の中でも次のことは私には大切に写りました。
 私たちは今まで文化行政とか芸術教育が大事だというと、情操教育とか心を豊かにとかいったことはやっぱりやったほうがいいよなという程度に受けとめられ、時には今は財政が厳しいからちょっと削ろうかなと言われる。そういうものだったということです。しかし、これからは文化力あるいはコミュニケーションの能力、あるいは国際性、そういったものが地域の競争力を決定していくというものです。それがなければ、地域はスパイラル状に衰退していきます。
 ですから、文化戦略というのは地域の生き残りをかけた政策の重要なファクターなのですということを認識してください。地域によって財政状況は違いますが、優先順位をどこにつけるかの違いとも思います。本当に文化がなくなっていいのですか。30年、50年後、それで地域の競争力が回れますか。いわゆるものづくり産業だけに頼って、本当に大丈夫ですかということを語っておられます。
 箕面市は、今はまだ比較的裕福な自治体として見られておりますが、本格的な少子高齢に突入しており、働く世代が減少していきます。とりわけ柱になるような産業もない状況で、今までのようなまちを経営していくこともできなくなる日が来るでしょう。そのときに備える答えの一つが、文化行政だと思います。
 平田氏はさらにこれからの方向として、文化を通じた社会参加の促進が大切とおっしゃっております。ソーシャル・インクルージョンということです。
 要するに、社会的に弱い方を文化的な活動を通じて社会参加させるということ。例えば家族の中にお年寄りがいて介護で大変な方でも、文化的な生活というのは憲法で保障されているわけですから、芸術や文化に触れ、生活の上での張り合いを求める場を提供することも大切なことと指摘しております。
 また、仕事を失ってしまった方が頑張ってもなかなか仕事を見つけることができないとなると、これからもずっと仕事が見つからないんだなという気になって、ひきこもってしまうことにつながります。そこで社会との接触が切れてしまうと、社会的コストが高くなるのです。孤独死などになれば、さらに社会的にも大きなコストがかかるのです。そのような方に演劇でも音楽でもスポーツでもボランティア活動でもよく、社会参加の場を提供することのほうが、社会全体のコストとしては安上がりなのです。
 ヨーロッパのどの国も重要な政策としてやっているのです。文化による社会包摂ということです。このような事柄がどこまで今の箕面に当てはまるかは、多少考え方の違いはあるでしょうが、文化の力がこのような具体的な事例としても見ることができます。
 さらに、経済・観光との連携による地域戦略としても、文化とは密接な関係にあります。連動させながら、その地域の魅力づけに大きな役割を担っている事例を多く見ることができますが、ここでは時間の関係で事例を取り上げることは割愛します。
 こうして行政が文化の視点を持って行政運営、地域運営を考えることなどは行政の文化化と呼ばれ、多くの自治体ではその方針を明らかにすると同時に、継続的な施策と位置づけるための指針や基本計画などを策定しております。
 箕面市においては、そうした理念を示すものとして箕面まちづくり理念条例や箕面市市民参加条例があり、その理念に沿った総合計画や個別計画があるとされておりますが、それぞれが個別的に取り組んでおり、必ずしも系統的に位置づけられているわけではなく、まちづくりの理念が横断的に共有されているとは言いがたい状況にあると思います。その理念を具体的に進める政策、施策が広く多くの市民と共有されているとは言えないのではないでしょうか。
 今から求められる市民協働をこの分野でも推進するためには、市民とともに考え、まちづくりとしての地域の特性を盛り込んだ戦略的な政策、施策をつくり上げるべき時期が来ていると考えます。市当局の考え方をお答えください。
 また、そうした政策、施策を形にすることと見える化することが大事だと考えます。その成果を本当に生きた計画、指針とするために、市民参加による政策立案のすべての段階で市民の声を十分に盛り込んだものとする必要があります。
 方法はいろいろあると思いますが、さきの総合計画特別委員会でも議論されたように、サイレント・マジョリティーの声をどのように拾い反映するのかといったことも十分検討されなくてはなりません。
 委員会に公募市民を入れることも重要ですが、日ごろから市民の意見を酌み上げることのできる市民文化懇話会のようなフランクに話し合える場を設け、ふだんから議論のできる環境整備をすることも大切であり、そのことがまさに文化のまちづくりの本質と考えます。
 最後に、こうした一連の活動は一朝一夕で実るものとは考えられません。また、担当の職員の熱意に期待するものでもないと思います。ある程度環境が整った段階で、多くの市民とともに文化のまちづくりを進めるための目標や権利を明確にする意味を込めて、基盤ともなる制度を担保する条例整備が重要と考えますが、市のお考えを回答いただきますようお願いして、私の一般質問といたします。
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