22年3月

◆3番(森岡秀幸君) 市民派ネットの森岡です。
 我が国は、生物多様性条約を1993年5月に批准し、締約国になりました。その締約国が一堂に会する生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で本年10月11日より開催されます。
 そこで、箕面市について、生物多様性にどのような取り組みがなされているのかお尋ねします。
 国は1995年に生物多様性条約に基づく初めての生物多様性国家戦略を決めました。2002年と2007年に内容の見直しを行って、その後、2008年6月に生物多様性基本法が施行され、法律上で生物多様性国家戦略の策定が規定されました。
 生物多様性国家戦略の策定について、パブリックコメント等を経て、2010年3月に中央環境審議会より環境大臣に答申がありました。この答申を踏まえて、2010年3月、生物多様性基本法に基づくものとしては初めての日本における生物多様性の保全と持続可能な利用を目的にした「生物多様性国家戦略2010」が策定されました。
 その「生物多様性国家戦略2010」は、国の基本計画に当たり、大きくは3つのポイントが示されております。
 1点目は、短期目標と中期目標の設定がなされ、中期目標として、2050年までに生物多様性の状態を現状以上に豊かなものにするということを定めております。そのための短期目標として、2020年までに生物多様性の損失をとめるために、生物多様性の状況の分析・把握、保全活動の拡大、それに維持・回復を図るとしております。
 さらに、生物多様性を減少させない方法の構築と持続可能な利用を推進する。さらに、生物多様性の社会における主流化、新たな活動の実践を目標に挙げております。
 2点目には、COP10の日本開催を踏まえ、議長国として、国際的な取り組みとして地球規模で生物多様性の保全と持続可能な利用を実現するために、国際的なリーダーシップを発揮する施策を推進することとしております。
 COP10の成功、SATOYAMAイニシアティブの推進、科学的な基盤の強化、科学と政策のインターフェースの強化、生物多様性における経済的視点の導入、途上国の支援の6項目としております。
 3点目は、この国際会議を契機として、生物多様性の保全と持続可能な利用をさまざまな社会経済活動に組み込み、多様な主体が行動する社会の実現に向けた国内施策の充実・強化を図るものとしております。
 生物多様性の社会における主流化の促進、地域レベルの取り組みの促進・支援、絶滅のおそれのある野生動植物の保全施策の充実、海洋の保全・再生の強化、自然共生社会・循環社会・低炭素社会の統合的な取り組みの推進の5つが挙げられております。
 とりわけ地域レベルの取り組みの促進・支援や野生動植物の保全施策の充実、自然共生社会、循環社会、低炭素社会の統合的な取り組みの推進などはこれからの箕面市における重要な環境施策と考えます。
 最新の生物多様性国家戦略をもう少し詳しく見ると、1部に戦略、2部に行動計画の2部構成となり、第1部では生物多様性の重要性について解説しております。3つの課題と4つの戦略を挙げております。そこに挙げられている課題は、1、乱獲・開発によって生物種が絶滅、減少していることもしくは生物種の生息地、生育環境が減少していること。2、里山などが人手による手入れがなされなくなったため、その地の自然環境が変質したこと。3つ目、外来種の侵入によって既存の生態系が攪乱されることなどが挙げられております。
 その課題に対する戦略として、生物多様性を社会に浸透させる。2、地域における人と自然の関係を再構築する。3、森・里・川・海のつながりを確保する。4、地球規模の視野を持って行動するということを挙げております。
 この戦略の根拠となる基本法は、これまで日本になかった野生生物の生息環境を生態系全体のつながりを含めて保全する初めての法律で、自然保護に関わる多くの法律の上位に位置する理念法であります。各法律の施行状況を確認し、必要であればその改正や状況の改善を求めることができる法律です。
 また、生物多様性の保全に配慮しながら自然資源を持続可能な方法で利用することや、環境を脅かす可能性のある事業などが開始される前に問題を予防的に解決すること、それらの実施に対して、一般市民の意見を考慮することなど、国際的には広く行われていながら、日本ではまだきちんと導入されてこなかった重要な施策がこの法律によって実現される可能性を持った法律です。
 少し長くなりますが、その根幹となる主な内容を紹介させていただきます。
 第3条、基本原則に健全で恵み豊かな自然の維持が生物多様性の保全に欠くことのできないものであることにかんがみ、野生生物の種の保存等が図られるとともに、多様な自然環境が地域の自然的・社会的条件に応じて保全されることを旨として行わなければならない。
 2、生物の多様性の利用は社会経済の変化に伴い、生物の多様性に損なわれてきたこと及び自然資源の利用によって国内外の生物の多様性に影響を及ぼすおそれがあることを踏まえ、生物の多様性に及ぼす影響が回避され、または最小となるよう、国土及び自然資源を持続可能な方法で利用することを旨として行わなければならない。
 3、生物の多様性の保全及び持続可能な利用は、生物の多様性が微妙な均衡を保つことによって成り立っており、科学的に解明されていない事象が多いこと及び一度損なわれた生物の多様性を再生することが困難であることにかんがみ、科学的見地の充実に努めつつ、生物の多様性を保全する予防的な取り組み方法及び事業の着手後においても生物の多様性の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、それを当該事業に反映させる順応的な取り組み方法により対応することを旨として行わなければならない。その他生物の多様性の保全及び持続可能な利用に当たっては、地球温暖化の防止に資するとの認識のもとに行わなければならないなどとしております。
 第5条では、地方公共団体の責務について定めております。地方公共団体は、基本原則にのっとり生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関し、国の施策に準じた施策及びその他の地方公共団体の区域の自然的・社会的条件に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとしております。
 国が取り組む施策で、箕面市として注視すべき内容を幾つかピックアップしてみました。
 まず、第14条に地域生物の多様性の保全として地域固有の生物の多様性の保全を図るため、我が国の自然環境を代表する自然的特性を有する地域、多様な生物の生息地または生育地として重要な地域の生物の多様性の保全上、重要と認められる地域の保全、過去に損なわれた生態系の再生、その他必要な処置を講ずるものとする。
 2、国は農林水産業、その他人の活動により特有の生態系が維持されてきた里地・里山等の保全を図るため、地域の自然的・社会的条件に応じて当該地域を継続的に保全するための仕組みの構築、その他の必要な処置を講ずるものとする。
 15条では、野生生物の種の多様性の保全について定めております。国は野生生物の種の多様性の保全を図るため、野生生物の生育または生息の状況を把握し、及び評価するとともに、絶滅のおそれがあること、その他の野生生物の種が置かれている状況に応じて生育環境または生息環境の保全、捕獲及び譲り渡し等の規則、保護及び増殖のための事業、その他の必要な処置を講ずるものとするとしております。
 また、国は野生生物が生態系、生活環境または農林水産業に関わる被害に及ぼすおそれがある場合には、生息環境または生育環境の保全、被害の防除、個体数の管理、その他必要な処置を講ずるものということも定めております。
 16条には、外来生物等による被害の防止として、国は生態系に関わる被害を及ぼすおそれがある外来生物、遺伝子組み換え生物等について飼養または使用等の規制、防除、その他の必要な処置を講ずるものとしております。
 17条には、国土及び自然資源の適切な利用の推進として、国は持続可能な利用の推進が地域社会の健全な発展に不可欠であることにかんがみ、地域の自然的・社会的条件に応じて、地域の生態系を損なわないよう配慮された国土の適切な利用または管理、及び自然資源の著しい減少をもたらさないよう配慮された自然資源の適切な利用または管理が総合的かつ計画的に推進されるよう必要な処置を講ずるものとしております。
 19条では、生物の多様性に配慮した原材料の利用、エコツーリズム、有機農業、その他の事業活動における生物の多様性に及ぼす影響を低減するための取り組みを促進するとしております。
 地球環境の防止、地球温暖化防止に資する施策としては、国は生物多様性の保全及び持続可能な利用が地球温暖化の防止に資することを踏まえ、多くの二酸化炭素を吸収し、固定している森林、里山、草地、湿原等を保全するとともに、間伐、採草等の生物の多様性を保全するとともに、必要な管理が促進されるようバイオマスの利用、その他の必要な措置を講ずるものとしております。
 以上のような国の施策に応じて、箕面市においてもこれからの環境施策に生物多様性の視点を加えて市民協働で市域の自然環境の保全、管理計画を再構築することが重要と考えております。幾つかの具体的な取り組みについてお伺いします。
 市域の6割を占める山間の山林は、日本の三大昆虫の宝庫をはじめとした多様な動植物の生息を支える大切な空間となっております。その大切な山間地に計画された広大な墓地計画を中止されて、約40年前に設けられたのは明治の森箕面国定公園であり、こうした先進的な取り組みによって現在の箕面の自然は形成されているといっても過言ではありません。
 しかし、その後に都市計画緑地として指定された近郊保全緑地などの多くの森林の保全管理方針をめぐってさまざまな考え方があり、必ずしも体系的な保全管理がなされているわけではありません。
 一方で、多くの市民が景観的保全を図ることを望んでいる山麓部の里山の保全管理で、一部ではありますが、生物多様性の考え方を取り入れた活動が展開されております。全般的にはまだ浸透している状況にはありませんが、そこでこれを機会に林業エリアや市民の森、府営公園など多様な森林環境のそれぞれの森林空間の主な役割を生物多様性の面からも位置づけ、整合のとれた保全管理の方針を検討する必要があると考えます。
 こうした取り組みを法の精神にのっとり、関係する国、府、所有者や市民団体とともに協働しながら推進していただきたいと思います。
 とりわけこれから利用がされている旧余野川ダム計画地や市が管理する市民の森、教学の森あるいは体験の森(学校林)などにあっては、このような整備方針のモデルとして保全・整備するのに最もふさわしい場と考えます。市のお考えをお尋ねいたします。
 次に、市街地の緑空間である公園や河川、ため池などは多くの市民が身近に触れ合える生き物の生息空間でもあり、これに学校などの比較的空間にゆとりのある公共施設などではビオトープなどの整備を図り、環境教育や命のとうとさを学ぶこともでき、日常的に触れ合える生物多様性の場として位置づけ、山林の森林空間と連携した生息空間のネットワークづくりが大切と考えます。
 今始まっている箕面市の公園再生計画などにあわせて、公園を核にしながら地域の特性などを考慮して個性化や機能分担などを考え、生物多様性の観点からも特色ある市街地における生息空間のネットワークづくりができないものでしょうか。
 さらに、これらのネットワークが隣接市と連携を図ることにより、千里ニュータウンの保全緑地や万博公園の自然文化園、服部緑地などの緑の拠点空間が箕面の市街地と連携して北摂の山間地と一体につながったら、これらの生息空間ネットワークは北摂一体の豊かな自然環境を形成するものと考えます。市のお考えを伺います。
 次に、第15条にあります野生生物の種の多様性の保全について、生物の多様性に配慮した原材料の利用、エコツーリズム、有機農業、その他の生物の多様性のために取り組みを促進することがうたってあります。箕面ではこれらに類する取り組みとして、ササユリやシダなどの消滅しかかっている地域の希少種の保護、保全活動や地域景観を形成するもみじ、桜などをはじめ、市街地の植物の調査やデータバンク化、あるいはさらに蛍などの昆虫類の保護をめざして市民の多様な活動が市民レベルで展開されています。
 市では、こうした市民の保全活動を積極的に支援して、生物多様性の状況の分析、把握、保全活動の拡大や維持・回復をめざし、2020年までに生物多様性の損失をとめて、現状以上に豊かな自然環境を育成する国家戦略計画にあわせて取り組みを強化していくことが重要と考えます。現在計画されている市民の生き物基礎調査・データバンクづくりなどの活動やボランティアガイドを中心としたエコツーリズム、エコミュージアムあるいは森林エリアのレンジャーの創設などのさまざまな取り組みを支援し、数少ない大都市圏の市街地に隣接した好立地の環境を持つ明治の森箕面国定公園を中心に新たな交流観光分野での活性化を図るためにも市民団体や国、府と連携して名実ともに多様な生物の生息する生物多様性の森へのソフト、ハード両面からの管理、運営、活用計画づくりに取り組んでいただきたいが、市の考え方はいかがでしょうか。
 さらに、これらとあわせて国、府や大学との連携によって、ササユリの種を保存するなどの人員バンクの整備などの拠点づくりを展開することは考えられないでしょうか。市の考えをお伺いします。
 最後に、第16条で述べている外来生物による被害の防止について簡単に触れたいと思います。
 国は生態系に関わる被害を及ぼすおそれがある外来生物、遺伝子組み換え等について使用等の規制、防除、その他の必要な処置を講ずるものとしております。箕面市では、猿、イノシシ、鹿、カラスなどの獣害等に取り組んでおられますが、アライグマに対する対応ももっと集中的に取り組む必要があると考えます。
 アライグマはペットが野生化し、繁殖しており、農業被害に加え、人に感染症などを媒介する危険な存在です。また同時に、民家や社寺などの地域の文化財にもさまざまな被害を及ぼしています。また、目に見えない部分では、これら人に対する被害だけでなく、野生生物の本来の移動能力を超えて意図的、非意図的にかかわらず人為によって導入された外来種が地域固有の動物のえさを奪い、生物相や生態系に対する大きな脅威となる事例もクローズアップされております。
 北摂では茨木市を中心に繁殖し、急速に隣接府県を含む府内に分布を拡大しております。箕面においてもアライグマの被害が続出し、農業被害の増大や生態系への影響が報告されるほか、アライグマ回虫等による人の健康被害も懸念されているところです。現在は捕獲の申し出を受けてトラップ等の機具の貸し出しと捕獲した個体の引き取りなどを行っておりますが、もっと積極的な駆除のための生息実態調査を行い、申し出のない民家や社寺の営巣地の撲滅などの対策の強化が必要と考えます。
 森林空間を人が活用する方策を進める上で、伝染病などの危険のない安全性の確保が必要な条件と考えます。また、アライグマのえさが在来種のえさと重なり、結果的に在来種の繁殖が阻害され、場合によっては地域から消滅する可能性も含んでおります。この対応の強化について市の見解を伺います。
 その他として最後に、最近市内で多発している連続不審火についてお伺いします。
 25日の深夜午前2時について、7件目の不審火が発生しました。周辺の住民は大変不安な思いを持っております。当局の取り組みについてお答え願います。
 以上をもって一般質問とさせていただきます。
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