21年6月

成熟社会
◆3番(森岡秀幸君) 市民派ネットの森岡です。成熟社会におけるまちづくりのあり方に関してお伺いいたしますが、広範にわたる連携施策となりますので、何点かに絞って市政の運営と絡めて重点的に質問させていただきます。
 箕面市は昭和31年、1956年に箕面町と豊川村が合併して発足しました。その後の人口の推移は昭和38年、1963年、約4万人、いわゆる万国博覧会を経た昭和48年、1973年に約7万人となり、昭和55年、1980年には約10万人に増加しました。この間は、都市への人口集中と、いわゆるベビーブームの世代の出産期となり、大都市周辺部の多くでこうした急激な人口増加の状況にありました。
 とりわけ箕面市にあっては大阪都心部からの交通の利便性なども評価されて、良好な自然環境を求めて移り住む人々に向けて多くの住宅が供給され、府内からの移動も多く見られました。その後、やや安定した時期を迎え、平成17年、2005年を頂点に増加の傾向から横ばい状態になってきました。箕面市はこの時点で、いわゆる成熟期に入ったまちと言うことができます。
 その後、大阪府のエージレスタウン構想から始まり、長年かかってようやく一部が完成した箕面森町、かつての経済成長期に構想された国際公園都市、彩都、さらに箕面市が手がけた萱野中央や小野原西における土地区画整理事業など、最後の大型開発と称されるこれらの住宅開発への人口流入が始まり、再び微増傾向に転じています。
 これらの全体の住宅供給量は決して少なくありませんが、箕面市が属する大阪都市圏では既に人口減少が始まり、あわせて高齢社会が本格化しており、今後の流入のスピードはかつての成長期のスピードと比べ、なだらかなものになるだろうと思われます。
 また、箕面市のハード面からの都市経営として見たとき、新たな基幹的都市基盤施設で、市単独で持つべき施設や求められる施設はほとんどなく、この点からも成熟都市ということができると思います。
 成熟社会という言葉がさまざまな意味合いで使われていますが、ここでは平成18年に答申された大阪府都市計画審議会の答申書にある次のような考え方で用いています。「第1に、量的な拡大と充足を追及してきた社会に対して、財政的な制約が強まる中で、成長によって得た豊かさを維持しつつ、質的な充実を図り、クオリティ・オブ・ライフをより重視する社会。第2に、将来の不確実性の高まりや社会が複雑、高度化するとともに増大するリスクに的確に対応し、万一の事態に備えることが求められる社会。第3に、府民の価値観の多様性や社会参加意識の高まる中で、府民、企業やまちづくり団体などの多様な担い手が行政とともに都市づくりに参加し、責任を負う社会である」としております。
 さらに、答申の中で「このような成熟社会において蓄積した都市ストックや自然、歴史、文化などの大阪の都市の持つ特徴、豊かさを生かして、府民がその個性を誇れるような大阪のまちづくりが求められる」としております。また、「多様化する都市へのニーズ、不確実性やリスクに対応するために、さまざまな施策連携と多様な担い手の参加による総合的なまちづくりが求められる」としています。
 このように、成熟社会におけるまちづくりは、このような総合的な視点を持って考える必要があると思います。非常に多面にわたるため、箕面市における成熟社会におけるまちづくりのあり方について、特徴的な課題に論点を絞り、市長のお考えをお伺いしますので、総合的なまちづくりの観点から真摯なご答弁をお願いいたします。
 まず第1点に、人口減少とその年齢構成が大きく変化していく中で、都市施設や社会資本の民間施設を含む既存ストックをその空間を含めてどのように維持管理、活用していこうとしておられるのかお伺いします。
 代表的な事例としては、既成市街地における住宅ストックで、賃貸の集合住宅において空き家が多く見られるようになりました。中には古くて狭い住環境の悪い住宅もありますが、いわゆるマンションと呼ばれる集合住宅などにも多く見られます。
 箕面の住宅ストックは、昭和40年代後半から50年にかけて建築された大規模集合住宅団地や、いわゆる郊外での戸建の住宅団地、さらには既成市街地に立地する古くからの優良な住宅地などの多くのストックがあります。これらが空き家になる原因にはそれぞれさまざまな要因があると思いますが、現在のニーズに対応してないことが最大の要因と考えられます。
 箕面森町や彩都、あるいは小野原西、萱野に多くの新規の住宅が供給されたり、不採算事業の土地利用転換による新たな住宅が旺盛に供給されていることも一因かと思います。
 しかし、既存のストックを何らかの形で活用がなされなければ、地域のコミュニティー形成や日常的な生活の利便性のみならず、防犯や防災上でも周辺の住環境に大きな影響を与えることになります。
 また、空き家だけでなく、入居当時は身体的に特に問題がなかったが、年を重ねることによって、エレベーターのない中高層住宅では住むのがつらいとおっしゃる方も多くおられます。
 なれた地域を離れることへの不安や、何よりも経済的に移り住むことが困難な場合がほとんどだと思われます。あるいは、古くて新しい問題でもありますが、子どもが独立し、家族の人数が減り、家を維持するのが大変そうなところも見られます。
 こうした問題を解決する一つの方法として、ゆとりのある住宅を求める世代に活用してもらう等の仕組みが整備されれば、双方にとって得るものがあるように考えます。こうした仕組みがうまく機能するかどうかは、信頼性の高い行政が何らかの形で関わることが望ましい結果が生まれます。
 例として、空き家が多い高齢化した団地でコミュニティーが壊れかけたところを、大学生の住居に貸していただくために大学が責任を持ってあっせんすることによって、住民は安心して住居を提供し、その効果として世代間の交流が生まれ、活性化した住宅団地の例をNHKが紹介したこともあります。ほんの一例ですが、こうした創造的な取り組みが成熟したまちを活性化するのではないでしょうか。
 既成市街地の人口密度が低下することは、水道、道路などを含む公共施設においてもさまざまな課題が顕在化することになります。これらを維持するためには、ライフサイクルコストの考えとあわせて、最も効率的に維持管理、活用できるまちづくりの仕組みを多くの市民や事業者とともに知恵を出し合い、創造的な工夫をすることが必要と考えますが、今後このような取り組みについてどのように対応されるのか、お考えをお聞かせ願います。
 第2点目に、さきの1点目と共通する点はありますが、既存の市街地において1軒、1軒の住宅や施設などのとらえ方でなく、一定のまとまった地域単位でのより快適で環境に配慮されたまちづくりを地域ごとの特性を十分に生かし、まちとしてどのように価値を高め、豊かさを維持、向上させるかといったまちづくりの仕組みをどのように展開するのかお伺いします。
 新市街地などを建設する場合は、各種の法律や条例で規制し、一定の環境水準をコントロールしていく方法がとられてきています。しかし、その方法は市内一円に適用されるもので、本来の地域の特性を十分に生かしたまちづくりには必ずしもつながっていません。
 これらの規制は、ある意味で法的に許される最低限度を求めるもので、地域の特性を本当に引き出したものとは言えない場合がほとんどだと思います。一般的に住宅供給事業者は、売りやすく、利益が還元されやすい形で事業を展開し、箕面市全体のまちづくりがどうなっているかを盛り込んだ計画は本当にまれと言わざるを得ません。
 まちづくりを誘導する側からしても、全体的なプランを持ち得てないことは否めないと同時に、市民的なコンセンサスを得てないものを強く望めないということもあるのではないかと考えます。
 こうした背景を考えたとき、これからの新しいまちづくりは、新しい市街地づくりはもとより、既成のまちにおいても良質なストックを築き、維持していくことが地域の価値を上げることにつながります。まさにブランディングなどと言われる他地域との差別化によって、地域間競争と言われますが、取り組まなければならないのは良好なコミュニティーを形成し、地域全体で地域の価値を上げることではないでしょうか。
 市内でも先進的な方々によるこうした動きは一部で見られますが、さらに大きな実効性のある活動につなげるには、行政としてきちんと動きを把握し、サポートすることが重要と考えます。
 現在、整備されているまちづくり推進条例などを有効に活用して、まちづくりの地域の小さな芽生えを的確に把握し、地域の人々によるまちづくり活動をサポートしていく必要があります。制度が十分でなければ制度改正などにも視点を入れて、充実させることに意を用いていかなければなりません。
 私たちがさきに視察に訪れた千葉県流山市では、高速鉄道建設のための土地区画整理事業で喪失した自然林をできるだけ多く復活させるために、市民、住宅供給事業者、行政、大学や地元企業の協力を得て、グリーンチェーン戦略と称するまちづくり施策を展開しております。
 概要は、つくばエクスプレス沿線整備の4つの地域内及び市内全域に流山市開発指導要綱等に規定する開発事業で、個々の開発事業における緑の価値づくりの取り組みを支援し、その取り組みを連鎖させることで緑豊かなまち全体の環境価値を創造するものです。すなわち1区画ごとの緑の植栽だけでなく、計画段階からまち全体の環境をにらんだ開発指導を行っております。
 こうしてつくり上げられたまちは緑豊かで、環境面からも有効に配置されます。例えば道路などからの照り返しが住宅に及ぼす影響をできるだけ少なくし、緑で冷やされた涼しい風が住宅に流れ込むなどの工夫により、冷房にかかるエネルギーを抑制する省エネの視点も持って、街路樹や個人の庭の植栽計画を誘導し、環境に配慮したまちづくりを行っております。こうした植樹に当然コストがかかります。また、維持管理にもこれからの何らかの支援の仕組みを考えていきたいとのことでした。
 関係者への説得のキーワードは、まちの価値づくりとおっしゃってます。まさにまちの価値を上げていくことに意を尽くされております。
 さらに、既成の住宅地では、オープンガーデンの推進を図り、地域のコミュニケーションの活性化を図り、その方たちの庭を見に訪れる地域外の愛好家などにも活発な交流を実現し、行政はこうした生き生きとしたまちづくりに取り組む市民のサポートをしておられました。
 こうした取り組みはここだけでなく、今、国土交通省の土地水資源局では持続的社会の形成をめざし、地域の状況に応じてエリアマネジメントとそれを支える担い手の活動をより普及、促進するさまざまな取り組みを行っております。多くの地方公共団体の財政が苦しくなる中、安全で快適、活力のあるまちを育てる方策として、全国で住民による防犯活動、緑化活動、事業者によるまちの活性化活動など、エリアマネジメント活動が始まっております。
 箕面市の総合計画の策定が進んでおりますが、その前段として自助、共助、公助の社会のあり方を市民会議が提案しております。市民とともにまちづくり、地域経営を行っていこうとの考えです。大学等との地域連携を活用したり、住民や住宅供給事業者、その他地域の事業者により、地域の安全性や景観など既成市街地及び新市街地の価値を向上させるための施策提案につなげる活動の展開と、地域の住環境の向上に対する具体的な市長の考え方をお聞かせ願います。
 3点目に、少子高齢化社会の取り組みにあわせて、子育て日本一をキャッチコピーにして取り組んでおられ、子育て世代において経済的な支援は確かに助かる施策と評価されますが、それだけではなく、地域のシニア層など幅広い世代との交流を含めた支援体制の確立が、より子育て世代には心強いサポートにはなるのではないでしょうか。
 経済的な支援はそれが続く間は目に見えて実感がありますが、終了したら何も残りません。新市街地に入居を想定している年代層が偏ると思われますが、この問題点をどのように考え、対処していこうとしておられるのか。
 子育て支援活動を行っている団体等は皆無ではありませんが、地域の福祉会や市民活動グループなどの努力で実施されているもので、本当に必要な方のいる地域で充足されているのか、きちんと対応する必要があります。必ずしも近所に張りつける必要はないでしょうが、デイサービスのようにもっと頻繁に、気軽に参加できるような活動を支援していく必要があるのではないでしょうか。
 過日、止々呂美で実施された催しでは市長も参加されたようですが、それぞれの地域に合った活動を推進するために、市民団体の育成ができているのでしょうか。自治会係を設置されておりますが、こうしたコミュニティーの育成こそ本来のめざすべき方向ではないでしょうか。
 環境美化や地域防災活動などのエリアマネジメントを含んだ総合的なネットワークの形成が最も求められている課題ではないでしょうか。成熟社会におけるコミュニティーのあり方をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 最後に、低炭素社会に向けたまちづくりについてお伺いします。
 さきに麻生総理が、今後日本が取り組むCO2削減の目標を15%と発表しました。この目標値は12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOP15に向けた日本での削減目標で、2010年から2020年までの温暖化効果ガス削減目標です。
 本市では、太陽光発電装置への市独自の助成が財政の都合で中止されました。このことは財政全体の点検や政策の優先順位から政治的に判断されるものですが、他方、それにかわる施策が求められると考えられますが、今後の市の方針はどのような考え方をもとに、どの点に重点を置いて施策を展開されるのでしょうか。
 箕面市は今年度、快適環境づくり計画が策定される予定ですが、当然こうした低炭素社会の視点が盛り込まれるものと思います。施策の内容や数値の検討もさることながら、いかにして実施、目標を達成していくのか、どれだけ市民と共有できるのかが最も大切な部分と考えます。
 現在の計画書でも多方面にわたる多様な取り組みが必要で実施されておりますが、市民に対してどれほど計画の中身が浸透しているのでしょうか。計画では設定される数値目標も大きな意味合いを持ちますが、本来の目的は市役所内部で行っている閉鎖的なものではなく、地域でどう取り組むかを考え、実際に移していくことだと思います。
 平成14年の箕面市快適環境づくりの活動報告書の中で、活動の基本方向で市と協働して環境活動を行う人材の育成を図るために、環境仕掛け人認定制度を発足させたとあります。何人の方が認定を受けられたのか、そしてその方たちの活動がどのようなものであるのか、このことを広く市民に周知されているのでしょうか。
 また、最後に、今後は市民と行政のパートナーシップをさらに強くしていくとともに、市民一人一人が自分たちのできることから始めるとあります。私たちも協力してより多くの市民に伝える必要があると思いますが、活動が共有されていなく、やはりどうしていいのかわからないのが現状です。
 成熟社会における持続可能な地域の環境施策に対する基本的な方針として、その実施、実行に向けてのお考えをお伺いします。
 以上、4点の質問をいたしましたが、どれも共通して市民に情報を伝え、市民とともに進めることがまさに成熟社会での地域経営のあり方と考えます。日常的に市民の考えを聞く仕組みと、それを市民とともに考え、政策として形づけ、それを実行していくという基本的な仕組みを構築していくことが求められるのではないでしょうか。
 あわせて、人材の育成、発掘、それに創造的活用を行い、「文化の里よ、我が箕面市」とうたっている箕面市歌にあるような社会をみんなで実現していきたいものと思います。この点も含めて、広く市民に向けて理事者の真摯なお答えをお願いして、私の一般質問といたします。よろしくお願いいたします。
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